今回開発したFPCの特長は…?
当社は、高温環境下でも劣化しにくい耐熱性に優れたFPCを開発しました。新製品の特長は、FPCに使用されている接着材料にあります。
FPCの構造には、導体(銅箔+銅めっき)を1層のみ使用した片面板と、導体を2層使用した両面板があり、導体を電気的に絶縁するために、ポリイミドフィルムと接着剤を貼り合わせた絶縁フィルムを使用しています(図)。従来の使用環境が150℃以下の電子機器用途のFPCは、カバーレイフィルム接着剤に、エポキシやアクリル系樹脂をベースとした接着材料が使用されてきました。しかし、150℃以上の高温環境下で使用した場合、構成材料が経年劣化するため、接着性・絶縁性が大きく損なわれる問題がありました。
今回当社が開発したFPCは、接着材料に耐熱性のあるポリイミド系の樹脂を配合することで、高温環境下での絶縁フィルムの性能低下が抑制され、その基本性能(FPCの耐熱性・高温高湿下での耐久性)が大幅に向上しました。
高温環境下での耐久試験(※1)では、①大気中150℃での高温放置、②高温高湿中での湿熱放置、③オイル中150℃での浸漬放置について評価し、いずれも初期および3000時間放置後において、FPCに求められるカバーレイの接着強度(JPCA規格、3.4N/cm以上)を満たすことを確認しています。
※1高温環境下での耐久試験:
自動車用の電線規格(ISO6722)では、ClassAからClassHまでの耐熱規格があり、150℃はClassDに相当します。長期熱老化試験では、「定格温度環境下にて3000時間放置し、巻き付け試験後に、絶縁層の破壊有無を確認する」となっております。FPCではこのような耐熱規格はありませんが、上記のClassDに準じた耐久試験として、150℃×3000時間をひとつの目安にしています。
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